対象日:2026年9月10日(日本時間)
2026年9月10日は、AIエージェントを実務へ組み込むための性能向上と、組織や社会が安全に管理するための仕組みが同時に進みました。Cognitionは新しいコーディングモデルSWE-2を公開し、Google CloudはGemini Enterpriseの利用対象とSlack連携を拡張しています。
一方、Salesforceは企業内のデータ、権限、行動をまとめて統制するAI基盤の構想を発表し、Microsoftは若年層がAIを安全に利用するための枠組みを示しました。NVIDIAの推論基盤拡張や、Preferred NetworksとACSLによるドローン航路生成の進展からも、AIが回答を返すだけでなく、業務や現実世界で行動する段階へ移りつつあることが分かります。
- 1. Cognition、コーディングモデル「SWE-2」を公開
- 2. Gemini Enterprise、従量課金版とAI開発ツールの利用対象を拡大
- 3. Gemini EnterpriseのSlackアプリ、チャンネル呼び出しと継続会話に対応
- 4. Salesforce、企業AIを横断管理する「Trusted Enterprise AI Harness」を発表
- 5. Microsoft、若年層のAI利用に向けた「Safe Participation Framework」を公表
- 6. d-Matrix、次世代AI推論チップをNVIDIA NVLink Fusionへ接続
- 7. Preferred NetworksとACSL、生成AIによるドローン航路生成をデモ可能な段階へ
- 今日のまとめ
- 参照元一覧
1. Cognition、コーディングモデル「SWE-2」を公開
Cognitionは、強化学習でコーディング能力と実行コストの両立を目指したSWE-2を公開しました。同社評価ではFrontierCode 1.1 Mainで50.0%を記録し、Fable 5.1に1ポイント以内まで近づきながら64%低いコストだったとしています。Kimi K3を基礎に追加学習したモデルで、Devin DesktopとCLIでは同日から利用でき、Devin WebとFusionには順次展開されます。数値はCognition自身の評価結果として確認する必要があります。
- 発表元: Cognition
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: Introducing SWE-2: Pushing the Pareto Frontier
2. Gemini Enterprise、従量課金版とAI開発ツールの利用対象を拡大
Google Cloudは、Gemini Enterpriseの従量課金版への登録とAI開発ツールの利用を、請求書払いのCloud Billingアカウントにひも付く全プロジェクトへ拡大しました。これまでは特定の案内メールを受け取った顧客だけがAI開発ツールを利用できましたが、その制限がなくなります。対象は請求方式の条件を満たす組織であり、一般的なセルフサービスのCloud Billingアカウントすべてが対象という意味ではありません。
- 発表元: Google Cloud
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: Gemini Enterprise release notes
3. Gemini EnterpriseのSlackアプリ、チャンネル呼び出しと継続会話に対応
Gemini EnterpriseのSlackアプリが、チャンネルやスレッド内のメンションと、ダイレクトメッセージで文脈を引き継ぐ複数ターンの会話に一般提供で対応しました。チャンネルで生成した回答は本人だけに表示され、確認してから共有できます。利用には管理者によるアプリの再インストールと、利用者によるコネクターの再認証が必要です。Slack内での検索に限られ、データストアの操作機能には対応しません。
- 発表元: Google Cloud
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: Configure the Gemini Enterprise app for Slack
4. Salesforce、企業AIを横断管理する「Trusted Enterprise AI Harness」を発表
Salesforceは、企業内のAIエージェントを共通の仕組みで管理するTrusted Enterprise AI Harnessを発表しました。文脈、エージェント機能、操作、ガバナンス、セキュリティ、モデルの6領域と、AIの登録、権限、評価、監視、費用をまとめて扱うAI Control Planeで構成します。基盤となる技術の多くは提供済みですが、新機能と統合画面は2028会計年度初めから順次提供予定で、価格などは未発表です。
- 発表元: Salesforce
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: Salesforce Introduces the Trusted Enterprise AI Harness
5. Microsoft、若年層のAI利用に向けた「Safe Participation Framework」を公表
Microsoftは、子どもや若者がAIの機会を得ながら安全に参加できるよう、Safe Participation Frameworkを公表しました。安全性を設計段階から組み込むこと、年齢に応じて体験を分けること、教育と主体性を支えることの3本柱です。Copilotではサインインを必須とし、13歳未満または地域法で定める年齢未満の利用を制限しています。Microsoft自身も完成形ではなく、研究や社会の変化に合わせて更新する枠組みだと説明しています。
- 発表元: Microsoft
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: Safe Participation Framework: Opportunity and Safety for the Next Generation in the Age of AI
6. d-Matrix、次世代AI推論チップをNVIDIA NVLink Fusionへ接続
AI推論チップ企業のd-Matrixは、次世代Raptor XPUをNVIDIA NVLink Fusionへ接続し、NVIDIAのラック規模のAI基盤へ組み込む計画を発表しました。NVLinkによる高速接続に加え、MGXラック、Spectrum-Xネットワーク、Vera CPUなどを利用し、専用XPUとGPUシステムを共通基盤で運用する構想です。現時点では採用と統合計画の発表であり、Raptorを使った商用環境の実測性能や提供開始日は示されていません。
- 発表元: NVIDIA
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: d-Matrix Adopts NVIDIA NVLink Fusion for Rack-Scale XPU Deployment
7. Preferred NetworksとACSL、生成AIによるドローン航路生成をデモ可能な段階へ
Preferred NetworksとACSLは、NEDOのK Programで進める小型無人機の研究において、任務内容、飛行条件、周辺環境をもとにAIが飛行プラン案を作る機能が、デモを実施できる段階へ到達したと発表しました。災害対応、緊急調査、インフラ点検、捜索などを想定し、将来は複数ドローンの連携を目指します。実用化や自律飛行の完成を意味する発表ではなく、研究開発上の到達点として示されたものです。
- 発表元: Preferred Networks、ACSL
- 発表日: 2026年9月10日
- 公式URL: NEDO K Program「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」において航路の自動生成デモが可能な段階に到達
今日のまとめ
今回のニュースでは、AIエージェントを実務へ広げるうえで、性能だけでなく、文脈、権限、監視、費用、安全性をまとめて設計する必要性が目立ちました。SWE-2はコーディング能力とコストの改善を示し、Gemini Enterpriseは組織で利用を始めるための課金条件や、日常のコミュニケーションへ組み込む機能を拡張しています。
一方、SalesforceとMicrosoftの発表は、AIが業務や生活に深く入るほど、何を参照し、どこまで行動でき、誰が確認するかを先に決める重要性を示しています。ドローンのように現実世界へ影響する用途では、AIの提案をそのまま実行するのではなく、条件、権限、人の確認、安全停止の仕組みを段階ごとに設けることが欠かせません。
なお、公式ページに掲載時刻やタイムゾーンの記載がない発表は、公式ページ上の日付表記を発表日として記載しています。
参照元一覧
- Cognition:Introducing SWE-2: Pushing the Pareto Frontier
- Google Cloud:Gemini Enterprise release notes
- Google Cloud:Configure the Gemini Enterprise app for Slack
- Salesforce:Salesforce Introduces the Trusted Enterprise AI Harness
- Microsoft:Safe Participation Framework: Opportunity and Safety for the Next Generation in the Age of AI
- NVIDIA:d-Matrix Adopts NVIDIA NVLink Fusion for Rack-Scale XPU Deployment
- Preferred Networks:NEDO K Program「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」において航路の自動生成デモが可能な段階に到達


